疥癬の薬物治療

TOPページ >> 疥癬の薬物治療

疥癬の薬物治療は2種類に分かれます

 疥癬治療のためのお薬は大きく2種類に分けられます。1つは原因であるヒゼンダニを殺すお薬。もう1つは主な症状である痒みを止めるお薬。です。

ヒゼンダニを殺すためのお薬
 内服薬と外用剤がありますが、普通の疥癬の場合は内服のみの場合が多く、ノルウェー疥癬のときは内服薬と外用剤を併用することが多いです。この辺りは介護者の負担なども鑑みて判断されていることが多いと思います。

 内服薬:ストロメクトール(イベルメクチン)
ストロメクトール(イベルメクチン)  体重1kgで200μgを空腹時に投与します。基本的に1回目の投与の1週間後に2回目の投与をします。ヒゼンダニに効果はあるのですがヒゼンダニの卵には効果がないため、卵から孵化したヒゼンダニを殺すために2回目の投与をするのです。また、高齢者などでは2回の投与では確実と言えないケースがあるそうで、3回目の投与を検討することもある。

 外用剤:オイラックスクリーム(クロタミトン)
 普通の疥癬のときによく使用される外用剤で全身(首から下)に塗って24時間後に洗い落とす。と、いうことを1〜2週間繰り返します。

 外用剤(院内製剤):安息香酸ベンジルローション(安息香酸ベンジル)
安息香酸ベンジルローション  全身(首から下)に塗り、24時間後洗い落とす。と、いうことを3〜4日繰り返します。安息香酸ベンジルローションは市販の医薬品ではなく、病院などの院内製剤として必要時に調整しているものです。
 処方例1)安息香酸ベンジルローション25%(200ml)
 安息香酸ベンジル 50ml トリエタノールアミン 1ml オレイン酸 4ml 蒸留水(適量)
 トリエタノールアミン1mlとオレイン酸4mlを混ぜ、安息香酸ベンジル50mlを加え溶かす。ここに蒸留水50mlを加え、よく振り混ぜ乳化させる。その後、全量200mlになるまで蒸留水を加え、よく振り混ぜる。

 処方例2)安息香酸ベンジルローション12.5%(500ml)
 安息香酸ベンジル 62.5ml Tween80 10ml 精製水(適量)
 Tween80 10mlに安息香酸ベンジル62.5mlを加え混和する。ここに精製水70ml加え、よく振り混ぜ乳化させる。その後、全量500mlになるまで精製水を加え、よく振り混ぜる。

 外用剤(院内製剤):γ-BHC軟膏(リンデン)
γ-BHC軟膏(リンデン)  全身(首から下)に塗り、6時間後に入浴し洗い落とす。その後、1週間後にもう一度塗り、6時間後に入浴し洗い落とします。1ヶ月に2度を限度とし、可能な限り少ない量を使用することが望ましい。と、いうのも、γ-BHCは毒性(神経毒)がかなり強く、小児の死亡事故や高齢者の痙攣発作などの報告もあるくらいです。但し、γ-BHCは2010年4月より化審法によって使用が制限されており、院内製剤としての入手が困難(実質不可能)になっています。
 処方例1)γ-BHC軟膏1%(100g)
 γ-BHC1g 白色ワセリン99g プロピレングリコール(少量) 赤色3号(少量)
 γBHC1gを少量のプロピレングリコールに溶かし、赤色3号を加え色付けする。その後、白色ワセリン99gと混和する。

 外用剤:チアントール軟膏(イオウ剤)
 全身(首から下)に塗り、24時間後に入浴し洗い落とす。と、いうことを5日間繰り返します。効果自体弱い薬ですが、その分毒性もそれほど強くないので子供や妊婦の疥癬に使用しやすいという側面がある。

  外用剤:ペルメトリン(日本国内未承認:医師が個人輸入して入手する)
 全身に塗り、8〜12時間後に入浴し洗い落とす。原則として1回のみの使用とする。

痒みを止めるためのお薬
 痒みに対しては、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー薬などの内服薬が処方されるのが一般的です。痒みはヒゼンダニが死滅した後も半年〜1年続くともいわれています。痒みの訴えが強ければ、長く処方することになると思いますが、漫然とした投与になってしまわないように注意が必要です。

院内製剤や個人輸入薬についての注意点
 基本的には未承認薬なので、医師の指示のもとインフォームドコンセント(同意書も)を取る必要があります。現状としてインフォームドコンセントをしっかりとっていない施設が多そうだと個人的には思いますが、医療事故などに繋がるリスクなどを考えれば、同意書のあるなしは大きいと思います。

■ このページのまとめ

疥癬オススメ書籍

 カラー印刷で写真も多く、実症例についても書かれています。疥癬を知りたい医療従事者に最もオススメの1冊。


 写真はあまり多くないが、分かりやすい解説と読みやすい文章が特徴。医療従事者はもちろんのこと、一般の方でも分かりやすい1冊。

当サイトについて

 当サイトは疥癬の基礎知識を紹介したサイトです。ただ、各個人の病状によっては異なる事象もあり得ます。治療方針については主治医の指示に従うようにして下さい。

リンク集

 当サイトを作成するに当たってお世話になったサイトや参考になったサイトをこちらのページで紹介しています。